今回は、先日読んだこちらの本を紹介します。
FIREや投資に関する本はいくつか読んできていますが、こちらの本は著者の意見やそのように主張する理由が明確で、実際の方法が具体的です。(意見や提案に賛同できない方もいるとは思いますが)
中でも私が「この本のここが良かった」と思うポイントが2つありましたので紹介します。
ポイント1:FIREにもいろんな形があることを教えてくれる
ポイント2:投資のゴールのその先を教えてくれる
ではそれぞれのポイントについて具体的に説明していきます。
ポイント1:FIREにもいろんな形があることを教えてくれる
FIREというと、億以上稼いだ人が仕事をリタイアして悠々自適に過ごす、というイメージがあります。
「自分には1億も稼げないからFIREなんて到底無理」と思う方も多いかと思います。だからこそこの本のタイトルに含まれる「年収300万円、貯金ゼロから7年で」というのに「嘘だろ?」と疑いつつ、そんな方法があるなら知りたい!と惹かれますよね。
ただ、よくタイトルを読むと「セミリタイアする」と書いてるんです。完全リタイアではない。そこで著者が教えてくれるのが「FIREの4つのタイプ」です。
(1)Fat FIRE(ファットファイア)・・・資産収入のみで生活
(2)Lean FIRE(リーン・ファイア)・・・超倹約して意地でも資産収入のみで生活
(3)Coast FIRE(コースト・ファイア)・・・資産収入のみでも生活できるが、趣味として片手間に仕事もして社会に関わっていく。
(4)Barista FIRE(バリスタ・ファイア)・・・資産収入+労働収入で生活する。労働日数や時間を抑えたパートタイム的な仕事で資産収入だけで足りない生活費を補う。自由な時間が増える。
一般的なFIREだと(1)から(3)のイメージですが、著者は(4)という選択肢があるよ、ということを教えてくれています。生活費すべてを資産収入で、となると、必要になる資金も多いですし、かなり高い運用利回りで運用しないといけないのでハイリスクです。(4)のスタイルであれば、FIREにむけてつくらなければいけない資産が半分で済みます。つまり、FIRE達成までの時間も短くすることができるわけです。
自分の普段の生活費だといくらくらい必要なのか、それを達成するのに何年かかるのか、といった計算も本書の中でわかりやすく解説されていますので、自分に当てはめた具体的なイメージが持ちやすいです。
ポイント2:投資のゴールのその先を教えてくれる
今まで色々な投資の本を読んできましたが、「積み立てて資産を作って、目標金額達成したとして、その後どうしたらいいの?」というのがいつも分かりませんでした。
この本では、平均利回り7パーセントの米国株のインデックスファンドで運用し、利益のうち、4パーセントを売却してその売却益と配当で生活する方法をメインでオススメしています。
アメリカで行われた資産運用に関する研究で、株式比率が50パーセントまでのポートフォリオであれば、25年間、4パーセントずつ取り崩しても元本が減らない、という結果が出ており、これが「4パーセントルール」の根拠になっています。
ポイント1のFIREに必要な資産の計算もこの4パーセントから逆算しているわけですが、それは本書をお読みいただくとして。
私はこれを読んでいて「なるほどねー」とは思ったものの、「でも投資信託は上がり下がりがあるから平均7パーセントとはいえ、そんな上手くいくかな?」と思いました。
そこについてももちろん、ちゃんとフォローしてありまして「4パーセント取り崩しても良いのは、株式相場が上昇していて、FIRE達成時よりも資産評価額がプラスのときだけ」と書いてあります。
FIRE達成時に1億円が手元にあったのなら、1億円には手をつけない。そこから増えた分だけ使って良いということです。(使わなければさらに増えるのでもっと良いですが)
そうはいっても下落の局面もあるわけで、その時に備えて現金も用意しておきましょう、ともっともなことが書いてあります。しかも暴落からの回復に長いときでは5年かかることもあるので「生活費×5年分」の現金を用意しておきましょう、と書いてあります。生活費が400万だったら2000万です。1億のほかに2000万。
これについては基本的には当たり前のことなので賛成なのですが、この本の読者層にとっては2000万貯めるのもかなりハードなことなので、「1億とは別に2000万用意しておきましょう」とさらっと言われると「うーん・・・」となりますね。でもこれができないとタネ銭である1億に手をつけてしまうことになり、FIREが失敗に終わる可能性もあるわけです。
結局のところ、資産が1億あったとしても生活のレベルを無駄に上げたりせず、生活費は増やさないようにする。また、ストレスにならない程度に働くなり、事業を興すなどして収入も確保する必要があります。
それでも生活のために嫌な仕事を定年まで続けるよりは、自由がありますよね。自分がしたい生活を思い描き、それに必要な生活費がどれくらいなのか、どの程度を自分で稼ぎ、どの程度を資産収入でまかなうか。すべては自分次第。
最後に
以上が私のこの本のオススメポイントでした。著者は米国株のインデックスファンド推しなので、その主張が合わない人には全く合わないかと思いますが、「FIREに興味あるけど、自分の収入じゃ・・・」と思っているような方は一度読んでみてはいかがでしょうか。実行しないにしても「そういう選択肢がある」ということを知っているだけでも損はないと思います。