見えにくい、読みにくい「困った!」を解決するデザイン (Compass Booksシリーズ)(間嶋沙知)

今回は、先日読んだこちらの本を紹介します。

この本を読んだ理由

以前『クイズ de デザイン 解くだけで一生使える知識が学べる!』を紹介した時にも書いたのですが、私は自分のデザインセンスに自信がありません。
とはいえ、私はデザイナーではないので、せめて職場で「この資料読みにくくない?」と思われないようにしたい、という理由でこちらの本を選びました。
当初、この本にはセンスよく見える配色やフォントの選び方、読みやすいレイアウトなどについて書いてあるのかと思っていました。
もちろんそういうことも書いてあるのですが、扱っている内容はもっと幅広く、「ダイバーシティやインクルージョンを実現するコツ」という、自分が意識していない内容でした。

本の構成と概要

こちらの本は、7つの章に分かれています。
第1章は「みんなのデザイン」
誰かにとってのデザインの「困った!」がなぜ生まれるのか。その原因や背景について解説します。
この本の中には視覚障害や色覚特性、外国人、高齢者、学習障害などデザインについて困りがちな人が登場人物として出てきて、彼らがどういうところに困っているのかをヒントに、デザインについて学んでいきます。

第2章は「色で困った!」
色覚特性を持つ人にとって見分けづらい色についての解説が詳しいです。色で困るのは色覚特性を持つ人だけではありません。コントラスト不足や背景と文字の重なり、グラフの色分けなど、誰もが見やすくするための色づかいについて学びます。

第3章は「文字で困った!」
フォントの選び方、行間や字間の適正な間隔、文字サイズなどです。
UD(ユニバーサルデザイン)フォントと他の文字の違いが具体的です。値段やサイズなど、数字を見間違えると困る重要なところで効果を発揮します。

第4章は「ことばで困った!」
ことば、というテーマですが、扱っている内容は色々です。やさしい日本語、専門用語、字幕、表記ゆれなど。
私は、進学塾のチラシを例にした「文章を読みやすくするヒント」がとても参考になりました。

第5章は「図解で困った!」
伝えたい内容に合ったグラフやイラストの選び方、ぱっとみて理解しやすいレイアウトや色使いなどについて学びます。

第6章は「UIで困った!」
ウェブサイトやアプリケーションのUI(ユーザーインターフェース)について学びます。
「このボタンは押せるのかな?」「このリンク先はどこなんだろう?」と惑わせるような紛らわしいスタイルや、過剰なアニメーション、操作性の低い入力画面などが具体例で分かります。

第7章は「おさらい」
問題が出題され、2章から6章で学んだことを元に、どんな「困った!」が隠れているかを考えます。

感想

オールカラーで各テーマが具体例と一緒に解説されています。
特に色覚特性については、一般色覚と言われるC型の他に4つも型があることを初めて知りました。
使われている色がどのように見えているのか型別に例が挙げられているので、型の違いが理解しやすいです。

また、各テーマの中では、それぞれの「困った!」について、解決や理解に役立つサイトや資料が紹介されています。
例えば色のテーマでは、色覚シミュレーターや『カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット ガイドブック』が紹介されています。
実際に自分でサイトや資料を作るときに役に立ちそうです。

たくさんの「困った!」の事例が出てくるので、「自分の作るモノにこういう視点が抜けていたなぁ」と確認することができるところもおすすめポイントです。

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