(萌えすぎて)絶対忘れない! 妄想古文 (14歳の世渡り術)(三宅 香帆)

今回は、先日読んだこちらの本を紹介します。

河出書房新社の「14歳の世渡り術」シリーズの中の1冊です。
最近、ヤングアダルトと呼ばれる中高生向けの本が充実していて、難しいテーマを分かりやすく解説している本が沢山出ています。
私はいい年齢の大人ですが、残念ながら小難しい本を読んでも理解できないことがあるし、何より楽しくないので、敢えてヤングアダルト向けの棚から選んでみることがあります。

こちらの本は、作家・書評家である三宅香帆さんが、古文の面白さを知ってもらうために、大学院時代の専攻の古文の知識を生かして書かれた本です。
教科書に出てくる古文やテスト用の知識の丸暗記では古文のおいしい部分は分からない、それを伝えるための本です。

作者のいう「古文のおいしい部分」とは古文の中に出てくる人間関係の面白さです。
それを作者は「推しカップリング」と表現しています。
男女でも男と男でも女と女でも、とにかく人間が複数人いたらそこに関係性はあり、関係性=物語です。

若い人向けにかなり砕けた文章で書かれているので、ある程度古文の知識のある真面目な方には向かないことをあらかじめお知らせしておきます。

私がこの本の中で一番面白かったのは、やはり最初の「枕草子」ですね。
作者が一番推しているだけあって、熱量が高かったです。
それに、中宮定子についてほとんど知らなかったので、清少納言が彼女に仕えていたこと、枕草子は中宮定子について書かれたものだったこと、中宮定子の最期なども初耳でした。
作者が生き生きと語る清少納言と中宮定子のやりとりはウィットに富んでいて、年齢の離れた2人が互いの教養や機転に信頼を置いている様子が窺えます。

あと面白かったのは、こちらも私が全然知らなかった「更科日記」ですかね。
「源氏物語のオタクの日記」として有名らしいです。
確かに作者が紹介している部分を読むと、本を読むのが大好きな女の子の日記で、昔も今も同じなんだなぁ、という気持ちになります。

枕草子や更科日記の他にも源氏物語、紫式部日記、伊勢物語、落窪物語、浜松中納言物語、とりかへばや物語、有明の別れ、万葉集、古今和歌集などを扱っています。

この本が受験の役に立つとかは全く期待できませんが、それぞれの古文について登場人物や成立背景が説明されているので、そういった豆知識を持っていると覚えやすくはなるかな?

作者も書かれているように、とっつきづらい古文に対して、ちょっとだけ親しみを持つために読んでみる。そんなスタンスで読む本としてオススメです。

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