今回は、先日読んだこちらの本を紹介します。
本の概要
前回紹介した『(萌えすぎて)絶対忘れない!妄想古文』と同じ河出書房新社の「14歳の世渡り術」シリーズの中の1冊です。
14歳とはほど遠い私ですが、タイトルに惹かれて読みました。
こちらの本は、ニッポン放送アナウンサーである吉田尚記さんが、「オタクとして興味あることや夢中になっていることを仕事にして生きていきたい」と思っている10代に向けて書いた本です。
周りの大人は「好きなことばかりして生きていけると思うな」と言う。
本当にそうなのかな?
どうしたら好きなことをして生きていけるのかな?
吉田さん曰く、「オタクを武器に生きていくための攻略本」です。
攻略本なので精神論は抜きにして、具体的な行動指針を提示しています。
本の構成
第1章では、オタクを武器に生きていくとはどういうことか、そのために何が必要なのか、吉田さんの人生から編み出した経験則と仮説を提示します。
第2章は、「オタクを武器に生きている」と吉田さんが考える次の4名の方と吉田さんの対談です。
・声優の竹達彩奈さん
・アニメ企画制作会社アニプレックスのプロデューサー 高橋祐馬さん
・アニソン✕ダンスパフォーマンスチームのメンバーで、複数のオタク関連企業を経営するけいたんさん
・IT批評家・執筆家の尾原和啓さん
最後の第3章では、第2章の要点をまとめ、第1章の仮説と照らし合わせて具体的な行動指針として提示しています。
感想
私は第2章の対談がどの方も興味深かったです。
竹達さんは、中2で養成所に入ろうと思う行動力や、自分のプロデュース力がすごい。自分に今必要なものや求められているものに対する感覚が優れていると思いました。
高橋さんは、大学生の時のバイトの話が印象に残りました。自分と正反対の人を見て、ああなるためにはどうしたらいいか、と考えるのって案外出来ないことではないでしょうか。
それと、好きなものがあったときに自分がそれで「楽しみたい側」なのか「楽しませたい側」なのかで仕事としたいか判断できる、と。「楽しませたい側」であれば、お客さんが何を求めているのか、何をやったらお客さんが楽しいかが分かって色んなアイディアが出てくる。なるほどなー、と思いました。
けいたんさんは元々ダンスが本業ではなくて、ライターをされていました。
そこでただ記事を書いて納めて終わりじゃなく、要求された内容にプラスアルファの価値を付加した記事を書くことで原稿料が上がる、自分で企画も立てて人も手配して多くのページ数をもらう。そういった経験が今の仕事にも生きているとお話されていましたが、どんな経験からでも本質を見抜いてビジネスのあり方を学ばれているところに頭の良さを感じました。
尾原さんは「今必要なものは『役にたつもの』ではなく『意味があるもの』」、「オタクを理解してもらうための4ステップ」の紹介、「友達はいなくてよい、一緒に好きなものを見ておしゃべりできる関係と割り切る」、「ライフワーク=壮大な暇つぶし、ライスワークを効率化してワイフワークの比率を上げる」など、批評家ならではの今後の社会の見方が勉強になりました。
さすがアナウンサーだけあって、対談形式で吉田さんが上手にお話を引き出されていました。何の分野でも、その道を突き進んでいる方が語ることは、経験に裏付けされた沢山の含蓄がありますね。
第3章で吉田さんが4つの仮説検証と、3つの「オタクの魂」の見つけ方、4つの「大人の技術」を解説してまとめていらっしゃいます。
良い年をした大人でも「オタク魂」を取り戻してライフワークを充実させたいなーと思わせてくれる本です。そういう意味では吉田さんの意図どおり「世界の見え方が変わった」・・・かな??